橋梁の種類と保守

3D変位量観測レーダーによる可視化と予知保全技術は、様々な橋梁の微細な変位や異常をリアルタイムで検出し、構造的安全性の早期評価を可能にします。この先進的な監視システムにより、損傷の初期段階での対応が可能となり、大規模な修復コストや災害による損失を防ぐことができます。

用途による分類

道路橋

劣化や損傷の主な原因は次の通りです

高速道路橋は高速車両の荷重と振動にさらされ、これが構造的な劣化を引き起こします。

気象条件による風化や凍結融解サイクルが、コンクリートや鋼材の劣化を促進します。特に鋼材を使用している場合、道路散布の塩や湿気による腐食が発生する可能性があります。

高速道路橋は通常、長い寿命を持っていますが、設計寿命を経過することで劣化が進行します。

PC橋梁

PC橋梁において、PCグラウトは不可欠な要素の一つです。

PCグラウトとは、PC鋼材とシース管(鋼材を覆う保護管)の間の隙間を充填するセメント系の材料で、主に二つの目的を果たします。

まず、PCグラウトはコンクリートとPC鋼材の一体性を促進し、効果的な力の伝達を確保します。これにより、橋梁全体が一つの統合された構造として機能し、強度を最大限に引き出します。

さらに、PCグラウトは鋼材の保護機能も果たし、腐食や劣化からPC鋼材を守ります。

鉄道橋

通常は鋼材やコンクリートが組み合わさっています。劣化や損傷の主な原因の一つは鉄部の腐食です。

気象条件や環境要因が鉄材に影響を与え、酸化反応が進むことで腐食が発生します。特に塩害がある場所では、腐食が進行しやすくなります。

振動や鉄道車両の荷重による橋の振動も、鉄部や溶接部に疲労を引き起こす可能性があります。

歩道橋

劣化や損傷の原因は、主に以下の要因に起因します。

長期間の露出により、雨、風、太陽光、凍結融解サイクルが橋の構造に影響を与え、劣化を促進します。

歩道橋の使用頻度や荷重が高い場合、疲労や損傷が生じやすくなります。

鋼材を使用している歩道橋では、腐食が一般的な損傷の原因となります。

定期的な衝撃や事故により、欄干や手すりが損傷する可能性があります。

特殊用途橋

特殊用途橋は特定の目的に合わせて設計され、構造はその目的に応じて多様です。

図の引き上げ橋(Drawbridge)は水路や港湾で使用され、通航可能な水路を提供するために橋を持ち上げることができる構造です。主に大型船舶の通行を可能にします。

特殊用途橋の劣化や損傷の原因は、通常の橋と同様に気象条件、腐食、荷重、使用頻度などが挙げられます。

水中に位置する橋は特に腐食が懸念され、浮橋では浮力の維持や連結部の損傷が重要です。適切な保守と点検が不可欠であり、特殊用途に合わせた補修や補強が必要です。

特に引き上げ橋の機構や浮き橋の浮力部分は重要な要素で、定期的なメンテナンスが求められます。

海に架かる橋

海に架かる橋の劣化や損傷は塩害が主な原因です。海水中の塩分が風によって橋梁に付着し、鋼材やコンクリートに侵入することで腐食が進行します。この塩害により鉄部や鋼索が腐食し、コンクリートも劣化します。さらに、海上の風や波による振動や荷重も構造に影響を与え、疲労やクラックが生じやすくなります。

基礎部分も損傷の要因となります。海底の地盤沈降や浸食が基礎の安定性に影響を及ぼすことがあります。不適切な排水設備や通気の不足も橋梁の劣化を加速させます。

劣化の防止には、塩害対策が欠かせません。耐塩害コンクリートや腐食防止塗料の使用、定期的なクリーニングと保守点検が重要です。海上の橋は過酷な環境に晒されるため、高い耐久性が求められ、技術や材料の進化が効果的な対策となります。

吊橋

吊橋は風に非常に敏感で、特に長大な距離を渡る橋では、風による揺れや振動が構造に影響を与える可能性があります。強風や突風は、橋の安定性を損ない、時には共振現象を引き起こして構造的な損傷をもたらすことがあります。

橋の金属部分(メインケーブル、吊り材、塔など)は、時間とともに腐食する可能性があります。特に海岸近くや塩分濃度の高い環境にある橋では、腐食が進行しやすいです。

腐食は材料の強度を低下させ、最終的には構造的な弱点を引き起こす可能性があります。

橋を使用する車両や歩行者の重量、橋自体の重量、風や温度変化などによる繰り返しのストレスは、時間とともに材料の疲労を引き起こします。疲労は、亀裂の形成や部材の断裂につながることがあり、これは構造的な安全性に直接影響します。

水道橋

長い時間を経る中で、風、雨、凍結、そして解凍のサイクルが石材を徐々に侵食します。特に、水の流れによる侵食は、構造の基礎部分に影響を及ぼすことがあります。

植物の根が構造物の隙間に侵入し、石を押し広げることによって、橋の安定性を脅かします。特に、大きな木や植物が根を伸ばすことで、石材の間に亀裂を生じさせることがあります。

水が構造物の隙間に浸透し、凍結することで、石材を割ることがあります。これは凍結融解サイクルと呼ばれ、特に冷涼な気候で顕著です。

歴史的建造物への無知や無関心による破壊や、不適切な修復作業が原因で、追加の損傷が発生することがあります。また、観光客による摩耗も無視できません。

地震は構造の基礎を揺さぶり、しばしば損傷や完全な崩壊を引き起こします。特に、地震が頻繁に発生する地域では、古代の建造物は脆弱です。

重力の影響により、経年とともに構造物の一部が沈下したり、移動したりすることがあります。また、建築材料の老朽化によって、元の強度が失われることもあります。

構造による分類

アーチ橋

アーチ構造の端とは、アーチが地面や基礎に接する部分であり、アーチの圧力を受け止めて支持する役割を果たします。これらの端部はアーチの力を横方向の圧力から垂直方向の力に変換し、構造の安定性を保つために重要です。アーチの形状やサイズに応じて、端部の設計は異なる場合があります。


桁橋

桁橋は、上部構造が梁(桁)で支えられた橋の一種です。この梁は橋の全長にわたって水平に架設され、両端が橋脚や岸壁によって支持されています。主に短い距離を渡る場合に用いられ、構造がシンプルで経済的なため、多くの道路や鉄道で採用されています。

斜張橋

斜張橋は、塔から放射状に伸びるケーブルで橋の走行路を支える構造の橋です。ケーブルは橋の主塔に取り付けられ、橋の路面に直接結びつけられています。この設計により、長大なスパンを持つ橋の建設が可能になり、視覚的にも魅力的な構造となっています。斜張橋は、その効率的な材料使用と美的価値で知られています。

トラス橋

トラス橋は、三角形の構造単位であるトラスを使用して橋を支える形式です。トラスは、圧縮と引張の力を効率的に分散させることで、橋の全体的な強度と安定性を高めます。この構造により、比較的長いスパンの橋を経済的に建設することが可能になります。トラス橋はその構造的効率と経済性から、多くの場所で採用されています。

ラーメン橋

ラーメン構造の橋は、橋脚と橋げたが一体になったPC(プレストレストコンクリート)ラーメン構造の橋です。ラーメン橋は、一般の橋と異なり上部構造と下部構造(橋脚)とを一体としたもので、力学的にはアーチ橋と類似しています。

ゲルバー橋

ゲルバー橋は、カンチレバー橋の一種で、ゲルバー梁(ゲルバーキャンチレバー)を使用した構造です。カンチレバー橋は、片方が支持点に固定されていながらももう片方が自由に伸びる梁(アーム)を特徴としています。ゲルバー橋では、これらのカンチレバー梁が中央のスパンで接続されているため、より長い距離を渡ることができ、中央での支持が不要になります。この構造は効率的な材料使用と、特定の地形や条件下での橋梁建設に適しています。


トレッスル橋

トレッスル橋は、一連の支柱やトレッスル(骨組み)によって支えられる橋です。これらの支柱は通常、橋の全長にわたって等間隔に配置され、橋のデッキを支持します。この種の橋は、谷や湿地など、橋の下に固定された大きな支持構造を設置することが困難または不可能な場所でよく使用されます。トレッスル橋は、鉄道橋としても一般的に用いられ、重い荷重を支える能力があります。